『春の伊予路をいく(霊峰・石鎚山へ)』の途中(かなり更新が滞っております、すいません・・・)ですが、近況報告をさせていただきます。

去る10月の連休を使って、また四国を歩いてまいりました。前回打ち止めとなった71番札所弥谷寺から歩き始め、2日をかけて78番札所郷照寺の手前のJR宇多津駅まで歩ききることができました。
この10月の遍路ですが、実は旅に出かける前の時期に仕事やプライベートの面で様々な問題が発生し、気持ちが落ち込んでいた状態でした。加えて体調面も思わしくなく、10年近く前から患っていた腰痛が突如再燃し、歩行すら辛いコンディションに見舞われてしまったのでした。
「こんな状況で遍路ができるだろうか・・・。」「もう今回は中止にしたほうがいいんじゃないか・・・。」と色々考えもしましたが、結局は断行することにしました。かねてから予定をたてていたからでもありましたが、なにより『こんなときこそ、お遍路をするべきじゃないだろうか』というなにやら直感めいたものを感じたことが決行の一番の理由だったように思えます。
気持ちをかためて四国に渡り、実際に歩き始めたときは気持ちもかなりナーバスでしたし、歩くことも困難でした。「やっぱりやめればよかったか・・・」と最初のうちは後悔と焦りの念を持ちながらお遍路をしておりましたが、旅を進めるにつれて、地元の方々や同じ歩き遍路さんなど、様々な方々との出会いがあり、それが僕に歩く力を与えてくれたのでした。これまでのお遍路の旅に於いても、人との出会いには本当に多くの力を頂いてきたのですが、今回の旅ではいつもにも増して『助けていただいた』という感覚が強かったように思えます。
腰痛も比較的に良い状態に変わることはありませんでしたが、ひたすら歩くという行為に体が少しづつ順応してゆき、気がつけばいつもと変わらない歩行をしている自分がいたのでした。痛みは残っているものの、脚が動きやすくなったということはやはり幾分かは改善していたのかもしれません。やはり歩き遍路には「治癒」の効果も多分にあるのだということを身をもって知ることができたように思えます。(ちなみに帰宅後はすっかり腰痛も治まり、普段通りのコンディションで日々を送ることができるようになりました。)
心身共に最悪の状態で決行した10月の遍路の旅でしたが、やはり決行したのは正解でした。あの旅をもし諦めていたなら、更に気持ちは暗い方向にいっていたでしょうし、体も決してよくはならなかったでしょう。全てはお大師様のお導きだったと感謝しています。『お遍路をすぶべきでは』と直感を得たのも、結局はお大師様に、そして四国に呼ばれていたということだったのでしょう。(この旅の経過は、いつの日かあらためて記事にまとめるつもりです。)


そんな10月の遍路の旅から2ヶ月の月日が経ちました。もう今年も残すところ僅かという時期になりましたが、いよいよこの年末年始にかけて最後の遍路の旅に行ってまいります。78番札所郷照寺から最後の札所88番大窪寺へ、そして1番札所の霊山寺までの道程を歩いてまいりたいと思っております。今年の四国は雪が多いとか。また大寒波も到来するということで、どんな旅になることやら、非常に不安はありますが、お大師様のお導きを信じて歩いていこうと思ってます。どんな『終わり』が待っているのか。とりたててドラマチックな終わりを期待しているわけでは更々ないんですけども、まあ自分なりの『終わり』というものがどういうものになるのかという楽しみな気持ちはあります。なにはともあれ、行ってまいります。




《追記》
へんろみち保存協力会代表・宮崎建樹さんの御冥福を改めてここでお祈りいたします。宮崎さんの御遺業を偲びながら、最後の遍路をしっかりと歩いていきたいと思います。