気ままに歩いて候。

あせらず、くさらず、歩いていきましょう。 2007年5月の連休から始めた区切り打ちの四国歩き遍路の思い出を綴った記事を中心に掲載しています。

2007年11月

歩行が生んだ傲慢さ

 いい調子で、歩くペースがどんどんと上がっていきました。膝の疲労感が、まだ若干残っているようでしたが、歩行に与える影響はなく、前へ前へと脚が面白いように動くのでした。この時が、この日で一番いいコンディションでしたね。「急がないと」と気が張っていたということもあるかもしれませんが、歩行を始めて4時間近が経って、ようやく、いい感じで筋肉がほぐれてきたという、そんな状態でした。

 「この調子だと、今日の目標は達成できそうやな・・・。」

 あくまでペースを持続できればの話ですが。

 ともかく、先のことを考えるよりも、今のこの時間を精一杯スピードを上げて歩くことに集中していました。集中しながら・・・、周りの景色にどうしても気をとられてしまうのでした。のどかな田舎の景色。機械的に同じペースで脚を動かしながら、頭のほうでは、あることを考えだしていました。

 母方の祖父が若い頃に歩き遍路をされていた。恐らく大正の時代だったと思われるのですが、その当時に歩いておられた道と、今自分が歩いている道は果たして同じ道なのだろうか?祖父の歩いた行程を自分も辿っているのだろうか・・・。今歩いているこの場所は祖父が歩いていた頃はどんな景色が広がっていたのだろうか・・・。そんなことが頭をよぎりました。
 昔は今のように道も整備されていたわけではなく、歩きやすい環境ではなかったでしょう。ましてや、今の時代のように歩行に便利なシューズなんてなかったわけですから、大変な行程だったのでしょう。そんな苦難の道のりを祖父は見事に歩き通し結願されたのです。現代の遍路道を歩く自分は、大正の時代を歩いた祖父には到底かなわないでしょうが、少しでも祖父に近づくことができればなと・・・。そんなことを考えながら歩いていますと、俄然元気が湧いてきました。ますます脚に力が湧いてくるのでした。


 途中、別れ道がありましたが、へんろ道保存会の標識を確認して、無事にクリア。まっすぐ一本道と思って油断していましたが、周りの景色を眺めていて運良く視界に標識がはいってきてくれましたので、危なげなく先に進めました。間違えそうなポイントには必ずといっていいほど、へんろ道保存会の標識が設置されています。これまでも幾度となくこの標識には助けられました。この時も助けられましたね。本当にこの標識はありがたいです。

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道を急ぐ

 大日寺で暫しの休憩をとると、次の目的地へ向けて再び歩きだします。時間は昼の3時に差しかかろうとしていました。この日の目標として、6番札所安楽寺までは歩こうと考えていましたので、今までの歩行ペースをかなりあげる必要がありました。
 例のガイドブックで安楽寺までの時間と距離を確認すると、「5番地蔵寺まで2km歩き30分」「5番から6番安楽寺まで5km歩き1時間20分」とあります。札所の納経所は夕方の5時までしか開いてませんから、安楽寺までたどり着き、参拝・納経し終えるまでに残された時間は2時間ほどです。ガイドブックの情報から考えると、歩行時間だけでも2時間近く消費し、更に参拝や納経の時間を考えると完全に時間オーバーでした。

 「急がなければ・・・。自分の限界を超えるんだ!!フラフラになっても、必ず安楽寺まで歩いてみせるんや!!」

 切羽詰った状況になると、どういうわけか妙に昔から元気がでるんですね!底抜けにお目出度い人間なのかもしれません。

 
 しかし、「予定」嫌いな僕も、知らず知らずのうちに、目標というものを設定し、それに執着するようになっていました。そうせざるを得ないということも仕方がないことではありますが・・・。そういった「予定」に縛られることで、元気にもなってしまうという・・・。俗世間というものの中で生きる者の業とでもいうのでしょうか。皮肉なものです。

 
 ともかくも、次の5番札所地蔵寺に向かって急ぎ歩き始めました。道はシンプルで、車道をまっすぐ南に向かってひたすら歩いて行けばよいのです。大日寺に向かってきた時とは違って、今度はゆるやかな下り坂になっていますので、膝の疲労もある程度は回復していましたから、歩行ペースもいい感じでどんどん上がっていきます。加えて、人通りが全くないのです。少し前まで、あれほど沢山のお遍路さんがこの道を歩いていたのに、今は誰ひとり歩く姿がない。大日寺へ向かう人すらいないのです。あまりの状況の変化に少し唖然としましたが、ますますペースを上げるのには最適だと思い、早々に先を急いだのでしたが・・・・。

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大日寺、沢山の笑顔に迎えられて

 小高い土手(というか坂)を登って車道を北へ歩いていくと、ようやく大日寺にたどり着きます。土手を登りきったところで、振り返って今まで歩いてきた細くて長かった遍路道を眺めていました。
 本当に趣のある道でした。途中、第三番奥之院の愛染院にも立ち寄ったのですが、農村の中に溶け込んだ霊場とでもいうのでしょうか。小さな境内の中に犬がいたり、おばあさん達が座って話をしていたりして、なんというか地元の方々の憩いの場のような、そんな雰囲気がありました。きっと、ここの御本尊のお不動様は地元の方には親しみやすい仏様なのでしょうね。この愛染院の光景には心を和ませれました。愛染院を過ぎてからも、道々で地元の方に声をかけられたりして、今思えば、遍路道の温かさというものを最初に教えてくれたのが、この道だったのではないかと思います。
 そしてもうひとつ・・・。起伏のある道を歩いていると、膝に負担がかかってきます。金泉寺あたりまではアスファルトの平坦な道でしたので、膝の疲労はそんなに感じなかったのですが(まだ歩きはじめたばかりということもありましたが)、この道は起伏が多く(多かったような気が・・・)、坂道を上がったり下ったりしていると背中に背負った荷物の重量がもろに膝に影響してくるのです。うまく杖を使えば、少しでもその影響を軽減することもできるのですが、当時の僕は杖の使い方がよくわかっていませんでした。そういった膝への疲労感というものを教えてくれた・・・、そういう道でした。
 
 大日寺へとつづく車道は、少し傾斜があって、ゆるやかな上り坂でした。まだ余力があるとはいえ、初めて感じる膝の疲労感もあってか、歩きがややペースダウンしてしまいました。

 「ひょっとして疲れたかな・・・??」

 歩くことに自信のある僕としては少しショックでした。これくらいの距離で疲れるのか?と。普段ならこれくらいの距離はわけなく歩けるのに・・・。
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六根清浄

1969年4月20日生まれ

京都市在住
2007年5月から始めた区切り打ち四国歩き遍路も4年目をもちましてようやく結願いたしました。支えてくださった皆様に感謝です。2巡目の構想も視野に入れながら、さらに日本の各地を「歩き旅」で訪れてみたいと考えています。自称『歩き中毒患者』(笑)


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