徳島駅の正面口で荷物を降ろして、ひとまずは一段落。市街の様子をボーッと眺めながら、「とうとう着いたんやねー・・・。」としばらくは感慨にふけっていました。
そのうちに我にかえると、これから一番考えなければならないことに気がつきました。
「どこに泊まろうかな・・・・。」
呑気というか、とことん甘いというか。宿の予約もとらずに京都から出てきたのでした。几帳面な方なら必ず旅に出る前に宿の手配はなさるでしょう。もちろん一方では、僕のような、なりゆきまかせでいくアバウトな方も世の中にはたくさんいらっしゃるでしょう。僕はもう、アバウトな人間の見本みたいな男なので、「宿の予約をとる」というような言葉すら旅の前には頭に浮かぶことはなかったのです。今までの経験上、なんとかなっていたもので・・・。これがよくなかったのかもしれません。
まずは「動き出そう」と思い、信号を渡って歩き出しました。歩き出したその先に、一人の易者のおじさんが机を前にして座っておられました。そして、僕と眼が合うや、「手相はどうやっ!!」と声をかけてこられました。しかし、手相よりも宿さがしです。「いえいえ」と言いながら通り過ぎようとすると、
「あんた!!悩んでる相がでとるで!!」
とやぶからぼうに叫ばれました。
僕は袋に入れた状態でしたが金剛杖を手にしていましたので、「ああ、これを見て悩んでるでとか言ってはるんやなー。」と思いながら、「そ、そうですか・・・。ありがとうございます。」と言って、そそくさとその場所を離れたのですが・・・。今から思いかえせば、このおじさん、これから直面する僕の境遇を見通しておられたのかもしれません。続きを読む
そのうちに我にかえると、これから一番考えなければならないことに気がつきました。
「どこに泊まろうかな・・・・。」
呑気というか、とことん甘いというか。宿の予約もとらずに京都から出てきたのでした。几帳面な方なら必ず旅に出る前に宿の手配はなさるでしょう。もちろん一方では、僕のような、なりゆきまかせでいくアバウトな方も世の中にはたくさんいらっしゃるでしょう。僕はもう、アバウトな人間の見本みたいな男なので、「宿の予約をとる」というような言葉すら旅の前には頭に浮かぶことはなかったのです。今までの経験上、なんとかなっていたもので・・・。これがよくなかったのかもしれません。
まずは「動き出そう」と思い、信号を渡って歩き出しました。歩き出したその先に、一人の易者のおじさんが机を前にして座っておられました。そして、僕と眼が合うや、「手相はどうやっ!!」と声をかけてこられました。しかし、手相よりも宿さがしです。「いえいえ」と言いながら通り過ぎようとすると、
「あんた!!悩んでる相がでとるで!!」
とやぶからぼうに叫ばれました。
僕は袋に入れた状態でしたが金剛杖を手にしていましたので、「ああ、これを見て悩んでるでとか言ってはるんやなー。」と思いながら、「そ、そうですか・・・。ありがとうございます。」と言って、そそくさとその場所を離れたのですが・・・。今から思いかえせば、このおじさん、これから直面する僕の境遇を見通しておられたのかもしれません。続きを読む